威鶴の瞳
威鶴に怒られるかな?
でも威鶴、口出しして来ないから……。
もしかして、威鶴も……トーマに知ってほしいのかも、しれない。
「トーマ……」
「あぁ」
「私……」
一呼吸置いて。
「私は……柴崎依鶴の、偽物、なのです」
もう、逃げない。
逃げたくない。
知ってほしい。
私を、威鶴を、『依鶴』を……救って。
私の中の何かが叫ぶ。
ずっとずっと前から声のない叫びを、SOSを、知ってほしくて、でも必死に……抑え込んでいた。