威鶴の瞳


この女は幼馴染みすら下僕にしていたのか……。

そしてほとんどしゃべらないチョコに視線を向けると、やっぱり俺を睨んでいた。



「でもやっぱり威鶴くんの愛が欲しいな」

「……何のつもりだ?」

「ふふっだって、威鶴くん、その隣のに愛されているから。取っちゃいたくなるのよ」



隣の……見れば、当たり前のように居る、トーマ。

いや、愛って俺は男……いや、でも体は依鶴のだから……いや、複雑だ。

きっとトーマも複雑だろう。

心は俺なのに体は依鶴、俺に愛を向けていないにしても、依鶴の体には違いない。



「魔女だから……本当は女の子だもんねー?でも反応からして隣の奴の一方通行なのかな?ダサいわね」

「やめろって言ってるだろ」

「チョコのケチ。三時間もあるんだからたっぷり遊べると思ったのに、残念」



フイ、と顔を反らし、視線を下に下げるソラ。

チョコの言うことには、従うのか……?
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