威鶴の瞳



説明が面倒だ……。

よし、依鶴を省こう。


「あるショッピングモールの一角にいる、結構凄腕の占い師がいる」

「……?あぁ、そうなのか。……それってお前と同じ名前の?」



すでに知っていた……!!

知っているというのは想定外だった。



「ねーちゃんが会ったらしいんだけど。なんかすげーテンション高く電話して来た」

「あ、あぁ、それ。その占い師だ。俺の家族みたいなものなんだけどな」



会ってなくても電話はするのか。



まぁ知っていても問題ないだろう。

構わず説明を続ける。



「今日、依頼人の渡辺春さんはそのショッピングモールに来ていてたが、目を離した隙に連れの彼女が消えていた」

「あぁ」

「放送で呼び出しても来ないから、その占い師に占ってもらったところ……どうやらこの件には事件性があることが分かった」

「占い師すげー……まるで威鶴みたいだな」



えぇ、威鶴ですとも。

依鶴は威鶴であって威鶴でないものですとも。



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