教組の花嫁

 立花まゆと前田カナは、本妻の泰子の住まいを訪れていた。


 「二人揃って何の用事や」


 玄関を開けるや否や、泰子は口を尖がらせて言った。


 「私たち話し合って、ここを出て行く事に決めました。長い間、お世話になりました」

 まゆがそう言うと、二人は頭をペコンと下げた。

 「な、なんでや。手当てが不足とでも言うんか」
 「違います。このまま、ここに居ても無駄やと思うんです」

 まゆが代表して語った。

 「何が無駄や。この役立たずが。昨日入った小波とかいう子は、もう教祖様のお手が付いたと言うのに」

 泰子が1オクターブ高い声を上げた。


 「本当ですか」


 二人が口を揃えて言った。





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