独りじゃないよ
目の前には二本の足が立っていた。


この白っぽい色のストッキング……階段をかけ降りてた人だ。


ボヤッとしている。


小学生の時以来の恐怖に心臓があり得ない程暴れ始めた。


ナースステーションの看護師さんたちは気付かなかったんじゃない。


聞こえるはずのない足音だったんだ……。


よく見るとその二本の足は痩せほそっていた。


気付いてないふりをしなきゃ……。


私は咄嗟にそう思い、恐怖の中静かに目を閉じた。


そして必死に眠ろうと、目の前の恐怖を忘れようとした。


必要以上に目をギュッと閉じ、日が上るのをまだかまだかと願いながら……。






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