眠り姫の唇


いや、確信が持てた事自体、ラッキーだったのかもしれない。

もっと巧妙に手を打たれていたら。


そんな時ちゃんと、自分は岩城を信用出来たのであろうか。


でも。


「…瑠香。」


この瞳を見れば、やっぱりすぐに誤解だって気付けたかもしれない。


「お前、一人で悩んでたんだな。」


岩城の腕に抱き締められ、瑠香はもうコレでいままでのもやもやなんかチャラに出来るなと思った。


この腕だけで、自分はこんなにも幸せな気持ちになれる。


「明日、サクラと話をしてくる。」


「あ、それですそれ。」



瑠香はひょこっと岩城を見上げ、岩城の鼻に指をちょこんと付けた。



「その“サクラ”っていうの。それでだいぶ不安を煽られたんですよ?なんで岩城さんには珍しく愛称で呼ばれてるんです?」


「はぁ?」


素っ頓狂な声を上げ、岩城は呆れたように瑠香を見つめた。



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