愛してんで
次の日。
外には、うっすら積もった雪が、太陽の光を浴びて、キラキラ輝いていた。
玄関では、奏と柚と臣が、今まさに出掛けようとしていた。
臣「ほなら、行ってくるわ。」
真新しい黒のブーツに足を通し、振り返る。
昂「おん。任しとき。」
佳「頼んだっ!!」
昨夜、みんなに相談すると、心良く賛成してくれた。
みんな、どうやら考えていた事は、同じだったらしく、隆太は嬉しかった。
潤「かなちゃんとしんくんとゆうくん、おでかけするの?」
燿「あきも、いっしょにいきたい。」
淋しげに甘えてくる2人の目には、うっすらと涙が浮かぶ。
柚「今日は、お家でお留守番しててな。」
柚が、2人の頭を優しく撫でると、大粒の涙が溢れ出す。
潤「いやぁー、じゅんもいくー。」
燿「あきもー。」
2人の鳴き声が響き、小さな手が洋服の裾を掴む。
奏「良い子でお留守番しててくれたら、きっとサンタさんが来てくれるで。それに、お土産買うてくるで。」
奏は、2人に右手の小指を差し出した。
潤燿
「「かなちゃん…」」
奏「約束。」
奏の小指に、小さな小指が絡み付く。
奏燿潤
「「ゆーびきりげーんまん、うそついたら、はりせんぼんのーます。ゆーびきったー。」」
小さな小指が離れると、涙をぐいっと拭って、笑顔が見えた。
燿潤
「「いってらっしゃい」」
小さな手をヒラヒラと振る。
奏臣柚
「「行ってきます。」」
3人は、にっこりと笑うと、キラキラ輝いている雪の中を歩き出した。
燿潤
「「いってらっしゃーい」」
そしてまた、大きな声が寮に響いた。