愛してんで


一方…


臣「うひゃぁー、最近の子供のオモチャって、ごっつ高いやん。」


柚「ほんまや!!これ買うなら、ゲーム買うた方が、えぇやん。」


棚に並ぶ値札に、度肝を抜かれる。


柚「でも、潤が喜ぶなら安いもんやで。」


臣「せやなー。お兄ちゃん達の力、見せたんねん!!」


ぐっと胸を張り、互いに肩を組むが…


臣柚
「「ほんまに、高いやん…」」


現実を目の前に見せ付けられると、空気が抜けたように、肩を落とした。


『パパー、これがいいっ!!これ、買ってー。』


『しょうがないなぁ~、クリスマスだから、特別だぞ!!』

『やったぁ~』


2人の横から飛び出した男の子が、一番高いであろうオモチャに飛び付き、嬉しそうに、父親にねだる。


父親は一瞬、困った顔を見せたが、小さな手からオモチャを受け取り、レジへと向かった。


臣「おとんは、偉大やんなぁ~。」


柚「あそこまでは、出来へんで…」


父親の背中を見送りながら、ガックリと肩を落とす。


パチンッ!!!


臣が、いきなり自分の頬を、両手で叩いた。


柚「なっ、何やねん!?どないしてん!?」


突然の臣の行動に驚き、柚は上擦った声を上げた。


臣「気持ちやっ!俺等、高いもんは買うてやれへんけど、一生懸命探す事は、出来る。気持ちやねん!!俺等が、潤の喜ぶ顔が見たいって、気持ちの方が大事やっ!!」


柚「せっ、せやでっ!!潤を喜ばせたい気持ちは、誰にも負けへん!!」


うんっと、顔を見合わせ頷くと、めぼしいオモチャを手当たり次第に取っては、話し合った。


柚「これは、どうやっ!!ウルトラマン着ぐるみパジャマ!!これ着て、ウルトラマンごっこ、一緒にやったんねん!!」


臣「えぇやん、えぇやん。これしかないでっ!!」


2人は、ニカッと笑い、奏の元へと向かった。



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