オレと君とガンプラと
春。
別れと出会いの季節。卒業したと思ったら、入学はすぐやってきた。
桜はもう散りはじめてて、木がさみしい。

桜にかこまれた、春日堀牧高校の前に1台のハイヤーがとまった。

中から黒ずくめの男が数人出てきて、正門まで長い道をつくり、ザッとかまえ、
「いってらっしゃい!若!」とさけんでいる、なんとも桜に似合わない景色をつくった。

すると中から金髪・ピアス・シルバーアクセなどをまとって、乱れた制服を着た男子高校生が出てきて、
「むかえの時間に遅れんなよ」
と言って歩き出した。

「ああぁ、ちょっとちょっと、何なんですかあなたたちは!」
春日堀牧高校の校長が校舎から走ってきて、男子高校生たちを指差した。
「いますぐ撤去してください!これから入学式なんです!近隣の方にご迷・・・・ん?」
脂汗をながした、50代後半の校長は、メガネをおしあげて男子高校生を見つめ、
「きみはここの生徒か。見たことないな。あっ、新入生なのか?」
と、顔をしかめて聞いた。

「おまえ!伊月さんにタメ語つかってんじゃねぇよ!」
「やめろ、斉藤、校長には手ぇだすなっていわれただろ」

男子高校生の後ろで、黒ずくめの男たちが言いあいをはじめた。

「伊月・・・?君が、羽田くんの息子さんかね?」
校長の脂汗が多くなる。
”伊月”は笑って、

「そうですが、何か?」
と、言った。
< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop