センセイと一緒【完】



「リストラされて次の仕事もない。このままでは餓死するから盗人になるしかない、けれどまだ思い切れない。そんな感じだと思います」

「ふむ、なるほど」

「でも、そもそもこんな究極の選択をしなければならない時点で、既に人生終わってる感じがしますけどねぇ……」


皮肉げに言った和泉に、教室中から笑いが漏れる。

鈴菜もくすりと笑って和泉を見た。

和泉は頭の回転が速いが、どこか斜に構えたような雰囲気がある。

そこも女子生徒たちにとっては魅力的に映るらしい。

藤代先生もはははと笑いながら黒板に向き直った。


「では、次。この文脈だが……」


藤代先生はチョークで黒板に何やら問題を書いていく。

鈴菜はシャープペンを走らせ、それを書き取っていった。


< 10 / 294 >

この作品をシェア

pagetop