センセイと一緒【完】



『好きな女も守れない男を、あたしは認めない』


――――あの時まで。

鈴菜がどんな目に遭っていたのか、直樹は知らなかった。

まさに青天の霹靂だった。

しかし……

あの時、鈴菜を助けたのは和泉だ。

それは、事実だ。


『前に言ったよね? あたし以上の男でなければ、鈴には指一本触れさせないって』


直樹は唇を噛みしめた。

和泉の言葉は正面から直樹の心を突き刺した。

和泉がそう言うのも当たり前だ。

鈴菜にしてみれば……

自分は突然唇を奪った上、自分に危害を加えるファンを野放しにしている男、だ。

……最悪だ。

直接、鈴菜から聞いたわけではないが……。

考えれば考えるほど、心が追い詰められていく。



< 231 / 294 >

この作品をシェア

pagetop