恋涙

今、自分の信じる道


2009年、4月。


大学に入学して三度目の春。


少し話を飛ばしてこのときの話をしよう。


私はバイト先の常連さんと付き合うことになった。


その人とは全く話したこともなかった。

いつも会社の上司の人を連れてきて、送り迎えをしたりする。

社会人って大変だなってその人を見て思った。


そう思ってるうちに予約帳にその人の名前があるとなんだか嬉しくなってる自分がいた。


だけど別に好きとかそういう気持ちはなかったかな。

ただ単に好きなお客さん。

クールで無口で、「あの人笑うのかなー?」とかバイト先の人たちと噂をしてるのが楽しかったから。


なんとなく存在が特徴的だったんだよね(笑)


そんな状況が一年近く続いたとき、彼の上司の大谷さんがバイト先に宴会できたんだ。



すべての料理が出て、宴会も終盤に差し掛かったころ、大谷さんが「お会計してください。」とレジのところにやってきた。


「領収書お願いね。」


大谷さんのその言葉に私はレジの下の引き出しから領収書を取り出した。


「あ、うちの会社の領収書だ。」

大谷さんが領収書の控えに会社の名前があったのを見つけてをのぞきこむ。


「そうですね。よく来ていただいております。つい一週間ほど前にも久保さんが・・・」


そこまで言うと大谷さんの顔がぱぁっと明るくなった。


「え?久保!?俺ねー今日もあいつに構ってきたんだよー。」


「あ、そうなんですか?久保さん今日いらっしゃるかと思ってたんですけど。」


「もしかして久保のこと好きなの?」


「えっ・・まぁ久保さんみたいな人、私はいいと思いますよ。」



その一言で大谷さんの顔色がまた変わった。


< 272 / 366 >

この作品をシェア

pagetop