「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
クリアで、綺麗だなんて。
今も同じ様に思ってなんかないのに。



店員に「やっぱいいです」とだけ告げて、ネックレスをつっ返すと俺は店を出る。

腹が空いたわけでもないし。
特に見たいものがあるわけでもない。


ふっと横を見るとそのブランドは過去、俺がレンタル彼氏をしている時の同僚が好きだったものだ。
名前は「JUN」。

こんな場所にもあるんだな。


「…聖か、懐かしい」


俺はぼそっと呟いた。
レンタル彼氏を辞めてから会ってない。

だから、もう会わなくなって一年経つ。


他のSランクも同様。
レンタル彼女をしていた美佳さんにも。


連絡先、知ってたのは数名だった。
だけど、俺が連絡する事はない。

慣れ合いは必要ない。


美佳さんによく言われた。


「千里は壁を作り過ぎている」って。


美佳さんというのは、レンタル彼氏の会社が経営していたレンタル彼女の売れっ子だ。
月にいくら稼いでいたのかはわからないが、結構な金額を稼いでいただろう。

そういえば、聖が美佳さんを好きだったな。


……今でも想っているのだろうか。

その一途な気持ちを、教えて欲しかった。
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