こちらミクモ探偵事務所5

朝食を終え、恵一は皆にリビングへ来るよう伝えた。
各々不安そうな面持ちで顔を見合わせる。

当の恵一は、手帳を何度も読み返していた。

少し遅れて信夫が来たところで、彼はおもむろに口を開いた。

「えーっと、本日はお集まりいただきありがとうございます。天候もよく……」

「前置きはいいから、早くしろ」

紘哉が静かに低く言う。
恵一は咳払いをして、皆を見回した。

「中村さんを殺した犯人が分かりました」

「えっ?」

リビングが騒がしくなる。
分かりきっていたことだが、やはり動揺してしまう。

「白々しいな……」

部屋の隅に立ち、皆を傍観しながらそんなことを思った。

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