こちらミクモ探偵事務所5

「これは……!」

「あぁ。秋元冬也の資料だ」

今回の事件で、一家を壊滅させたイチゴのセールスマンだ。
昔、世話になった警部に資料を要求したところ、いくつかコピーしてくれた。

「だけど、素顔や生い立ち、奴に関しては何一つ分かっていない」

「そんなぁ……」

「それに仲間が捕まったと言うのに、大人しくしていない。むしろ、最近は行動が活発化してきている」

「えぇー……」

「アイツは何を考えているんだ?」

「……」

難しそうな顔をする紘哉を、心配そうに羽兎が見つめる。

だが次の瞬間、彼女は思い出したように手を叩き、

「ねぇ、ケーキ食べようよ」

と言って、資料を投げ出した。

「……そうだな」

紘哉も立ち上がり、小さな給湯室へ向かっていった。

1つの大きな事件を解決。
今日もミクモ探偵事務所は平和である。



【完】

< 222 / 224 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop