こちらミクモ探偵事務所5

後ろから掛けられた声。
千尋は驚いたように振り向いた。

「いや、あの、その……」

「言いたいことがあるならハッキリ言えば?」

不機嫌そうに紘子が言う。
お風呂上がりなのか、髪が若干濡れている。

「紘子こそ何の用なのよ?」

「私はケイ兄に用があるの」

「え?俺?」

恵一が少し嬉しそうな顔をする。
紘子は頷き、彼を見た。

「何かね、変な音が聞こえたんだ」

「変な音?」

「そうそう。詳しく説明したいから中入れて」

「別にいいけど……」

ちらっと紘哉を見る。
彼は眉を寄せ、何やら考え事をしているようだった。

< 45 / 224 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop