こちらミクモ探偵事務所5

「おはようございます!」

「おはようございます、花形さん。こんな朝なのに、元気なんですね」

「はい!羽兎さんの顔見たら、疲れも吹っ飛びました!」

ニコニコと笑う恵一。
いつだって、羽兎に対して敬語である。

羽兎の父親は警視総監である。
つまり、恵一のお偉いさん。
その為、年下であるにも関わらず、彼は羽兎に対してだけ紳士的である。

「……調子のいい奴」

毎度の事ながら、紘哉は呆れることしかできない。
彼は欠伸を噛み殺し、黄色いテープの向こうを見る。

「そろそろ行くか?」

後ろから声が掛かる。
紘哉は小さく頷いた。

< 53 / 224 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop