蝶々が飛んだら
 女の子が私の靴ひもに手を伸ばした。

「結んであげる」

「え?」

 女の子がひもに触ったとき、「だめよ、さっちゃん」と母親の声がした。

「だって、ゆるんでるよ」

「ごめんなさい。この子、最近結べるようになったものだから」

 女の子が結びたそうに、私の靴を見ている。

「いいえ、大丈夫ですよ。結んでくれるの?」

「うん!」

「すみません」母親が軽く頭を下げた。

「じゃあ、お願いしようかな。いい?さっちゃん」

「いいよ」

 さっちゃんが小さな手で結び始めた。

「上手だね」

「これね、ちょうちょ結びって言うんだよ」

「そうなんだぁ」

「はい、いいよ」

 そう言って、さっちゃんはニコニコしている。

「ありがとう」

「今日、ちょうちょ飛んでないね」

「蝶々?」

「雨だからかな」

「蝶々、好きなの?」

「うん。キレイだもん。フワフワしてる」
< 4 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop