恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜

「二人して電話出ないで、何してんだよ?」

「自分たちが煙草吸ってるから悪いんでしょ〜!!」



そんなやりとりをするハル君の顔を、ジッと眺める。

もし私が思っていたことが勘違いだったら……。



「ん? 紗夜香どうした?」

「へっ? あっ……。ううん、何でもないっ!!」

「紗夜香ちゃん変なの〜。何かやらしー妄想でもしてたの?」

「亘っ!! あんたは一言余計」



バシーンッ!!

望さんの平手打ちが見事にお尻に当たり、悶え苦しむ亘さん。



「懲りないな、亘も」

「っとに、その性格いい加減治したら?」

「またまた〜!! そんな俺が好きなくせに」



呆れてため息をつく二人。

私はただ、ハル君を眺めているだけ。



「行こっ、紗夜香ちゃん」



望さんに声をかけられハッとして、荷物を持って立ち上がる。

二人の背中を追って歩きだす。

亘さんは来なくていいよなんて言われて、すがるように追い掛けてきて。


こんな三人のやりとりが、何だか凄く羨ましかった。

過去にいろいろとあって、だけど今こうして仲良くしていて。

私も優美とこんな風になりたい。

強くそう思った。

そして……。



「紗夜香」



私の名前を呼ぶハル君に、胸がギュッと苦しくなる。

溢れだす想い。

望さんが教えてくれたことが、本当かどうかは分からない。

だけど、そんなこと聞いたら想いは加速するばかり。

ハル君への気持ちが消えない。

消えるわけないんだ。


どうしようもなく、ハル君を想っているんだ――……。



< 308 / 359 >

この作品をシェア

pagetop