沃の心箱

“喜”


『ピエロ“喜”/by.沃』


彼はピエロ
じわりと何かが熱く熱く熱く…
鼓動と共に侵食してきた

それは
“怒り”の様な焦れったさと
“哀しみ”の様な胸の苦しさと
“楽しみ”の様な高揚感と良く似た…
だけど別の何か

彼は知ってしまった
いや 彼は本当は知っていたのだ
この矛盾した想いこそが
“喜び”なのだと

その感情は心地良く
また同時に失くしてしまうという恐怖を伴い
だけどそれでも
彼は知ってしまった

“感情”を知ってしまった彼はピエロとしての役目を終える

彼はピエロだった
彼は人になった

彼は初めて
幸せだと思った


 
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