LOVE PRINCESS(壱&沙耶)
「でも、嬉しかったけどね?」
先に歩いていた沙耶ちゃんが、立ち止まったと思ったら、そんな事を振り返って言うもんだから。
「……ん」
俺は、真っ赤になっちまって。
そんな笑顔で言われたら、言い返せなくなるし。
照れてるのがバレないように頭をかいて誤魔化す俺に、沙耶ちゃんはそっと手を差し出し
「繋いでも、いい?」
なんて、今度は恥ずかしそうに上目遣い。
有り得ねぇ。
本当に、有り得ねぇ。
こんなの反則だろ。
でもここは外。
俺は理性をぐっと押さえて、
「……いいよ」
そう手を繋ぐ。