好きだよ、たぶん。


「こんにちはー」

イケボ!男声!こ、これは…!

頭の興奮指数が一気に上がる。
飛ぶように、ものすごい勢いで、入り口に飛び出すと、予想通り、男の子が立っていた。

「こ、こここここ、こんにちはーーーーー!!入って入って!名前は?声優志望?どこ中出身!?」
「え、あ、ええ、咲田優輝です、えっと…(汗)」
「彩月、困ってるから。落ち着け、気持ち悪い。」
「気持ち悪いってなにさーーー!」
「え、逆に気持ち悪くないと思ってたの!?びっくりー(笑)」
「ちょっとぉー!」

モモエと私はいつもこんな調子。
私が拗ねるのを無視してモモエは続ける。

「まぁ、コイツはほっといて、私は3年の速水百恵です。」
「私は彩月!相田彩月!さっちゃん先輩って読んで!!」
「さ、さっちゃん先輩…はい、さっちゃん先輩と、モモエ先輩ですね。」

咲田優輝氏は、やや緊張した面持ちで立ち尽くしてる。

「まぁまぁ、座りたまえー、少年!」

私はおどけた口調で椅子を差し出す。
少年が腰かけたのを確認して、ホワイトボードに向かう。

「うーん…さ、く、た、ゆ、う、き…咲…田んぼ…優しい、輝く……ゆーくん!ゆーくんってどーよ!?」
「は」
「あだ名だよ!あ、だ、名!!」
「「あだ名??」」
「うん!親睦もかねて、あだ名を…「却下。」
「なんでぇぇええ!?いいじゃん!ゆーくん!ゆーくん!!」
「却下!普通に咲田君でいいじゃんか!ねぇ?咲田君??」
「ええっ!?俺に振らないでくださいよ、先輩(汗)」
「ゆーくんって良いよね?可愛いし!」
「先輩?可愛いって嬉しくないです。まぁ、好きに呼んでください。あと、俺、放送部しか入る気ないんで、よろしくお願いします。」
「ほんとー!?やったーーー!!男子部員獲得!ゆーくん!やったー!フォーーー!!よろしくねーー!!」
「彩月落ち着け、うるさい、キモい。」

そうこうしてるうちに、私とモモエ以外の部員も集まり始めた。
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