アクセサリー
「今日はみんなわざわざ来てくれてありがとうね。また来週から……、来週は文化祭で休みかな? じゃあ、その次からがんばりましょう!」
 遠藤先生は笑顔で手を振って去っていった。よほど楽しかったのだろう。彩乃たちはネオンが輝く街に消えていく遠藤先生を見送った。
「お疲れさまでしたあ」
 頭を下げて、先輩の男子学生二人とも別れて彩乃と直美は駅へ向かう。
 そのとき携帯が着信を知らせた。隆一からの電話だ。
「もしもし?」
「もしもし、俺だけど……、今練習終わったよ。彩乃は今どこにいる?」
「えっと、今は……、パルコの近くかな」
「パルコ? よし分かった。今からそっち行くからさ、パルコの入り口前にいて」
「入り口前ね。じゃあ待ってるね」 
「すぐ行くからさ、じゃあ」
 彩乃は携帯を閉じる。閉じたと同時に、
「ね、ね、誰?」
と直美が顔を近づける。
「いや、あの……」
 案の定というべきか、直美に勘ぐられてしまった。詮索がはじまる。
「うそだあ」
直美は火事にたかるやじうまのような顔をしている。今日の昼から、彩乃の様子がおかしいと思っていた直美は、今の電話は何か問いつめようと、
「本当のことを言いなさい」
とにやにや、笑いを抑えきれない顔をしている。
「これは本当にただの友達で……」 
「別に隠さなくてもいいんだって。うわあ、今から何かあるのー?」
「これはその……」
 まだ誰にも言いたくない彩乃はなんとかごまかそうとするがうまくいかない。ここは正直に言ったほうがよいかもしれない。男がいると勘違いされて周りの友達に誤報が広まったら厄介だ。
「今から……、あのー、ちょっと……」
「ちょっと? 何なの?」
「……好きな人に会うの」
「マジでぇー?」
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