百鬼夜行と暴走族 壱

仲間



「来たな、」



天堂さんが呟いて開いた障子から見える空を見上げた



何がですか、と聞こうとすると、かすかに何かの鳴き声が聞こえた



「なに?」


「なにか聞こえるな」


「遠吠えじゃよ」


遠吠え?



そう言われてみればそうな気がする


ウオーン、とか言ってるし声がだんだん近くなってくる



「水用意しなきゃね」


十六夜さんが縁側を通って池がある庭に降りた



桶より少し大きい入れ物を二つ用意して井戸から水を汲み上げて入れてる



用意し終わって待ってると

ダッ、ダッ、ダッ、


と音が聞こえてきた




< 238 / 330 >

この作品をシェア

pagetop