ドッペルゲンガー ~怪事件捜査倶楽部~。
果たして手帳に何が書いてあったのか、それは山城さんは見かけによらず肉食女子で、最近京葉南という名門の高校の男子と合コンをした事、その中の一人と今良い感じらしいとの事だった。相手の名前までは書いてなかったが、先ほど山城さんが自分から「高坂くん」という名前を出してしまった事から、相手は高坂くんであることは間違いではないだろうし、残念ながら要の手帳に書き加えられるのも明白だろう。

ちなみにこの情報は、要がトイレに入っている時に、3年の女子がたまたましていた話題だった。要はたまに違う学年のトイレにも入るので、白女のみなさんは注意が必要だ。だが、残念ながらこの事実を知っている者は今のところ誰もいないのだった。

そしてそんな話を引き合いに出せば、山城さんは確実に教室を出て行くし、残りの2人も山城さんの後を追って、野次馬しに出て行くだろうと、要は踏んだのだ。

なにしろ、女の子は恋愛話が大好きだからだ。だが、もちろん高坂くんは門で待ってやしない。後で問い詰められるかもしれないが、返しはもう決めていた。

「すみません、京葉南の門で待ってるでした」とか「駅前にある恵比寿門でした」とかで言い返そうと思っていた。ちなみにこの街の駅前には恵比寿門という小さな門のオブジェが置いてあり、待ち合わせでよく使われていた。

まあ、高坂くんに聞かれたら言っていないのは明らかになってしまうが、そうなっても詰め寄られたりしない自信が要にはあった。

何故なら彼女は情報の毒蜘蛛であり、この学園で密かに恐れられる存在だからだ。知らない者も多いが、要がそうだと知れば、学園の生徒である以上めったな事では近寄らないだろう。

あらゆることを踏まえて、要は3人を教室から追い出すことに成功した。

そして要は素早く榎木と呉野の机から、残っていた教科書やノートなどから本人のものと思われるものをいくつか採取することが出来たのだった。

ちなみに三枝の指紋採取はとても簡単に取る事が出来た。

生徒会室に様子を見に行くと、あかねを除いた生徒会メンバーが何やら話し合っていた。その目の前には、それぞれ缶ジュースが置いてあった。

しばらく様子を窺っていると、誰かが廊下を駆けて行く音がし、要は身を隠した。

廊下を駆けてきた少女はそのまま生徒会室に入り、何かを話した後出て行った。すると、生
徒会長が生徒会を解散させ、三枝は缶を持って生徒会室を出る。

そしてその缶をゴミ箱に入れた。

要は人がいなくなるのを見計らってゴミ箱からその缶を回収すればよかった。とても簡単で、榎木達の指紋よりも確実なものが入手できたのである。

ちなみに要はちゃっかりと、その缶もビニールに入れて持って帰ってきていた。
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