太陽の竜と闇の青年
「……ろ、…………ウ」


遠くで誰かの声がしている。


と、思ったら耳元で思い切り、


「起きろ!!ルウ!!」


という大声が聞こえた。


ガバッと身を起こした私の額と、私を起こすためにいたフウとの額がガツン!とぶつかり合った。


「いってぇー」


「いったぁー」


私とフウは額をおさえてうずくまった。


「何やってるんだ?」


壱が部屋に顔をのぞかせて眉をひそめていた。


その口にはハブラシがある。


「いや、何でもなーい」


私が笑いかけると、壱はふーん、と興味なさそうに洗面所に向かった。


すると、フウが恨むようにドアを睨んだ。


「羨ましいよなぁ。壱、顔だけはカッケェんだもん」


私はフウに苦笑いを返した。


「神様からの献上品じゃないの?」


フウは大袈裟に笑った。


「神様ってもしかして九尾?あっはっは!!じゃぁ、僕は遠慮したいねー」


……ここに故がいなくてよかった。


ホッと胸をなで下ろした私は扉のほうを見た。


「でも、壱って実はすごく心優しい人なんだよ」


すると、フウが私の顔をのぞき込むように見ていった。


「知ってるよー。僕も壱に助けられた。心のモヤモヤが消えた。アイツって結構聞くのが上手いよなー。何っていうかアイツに相談したら、自分の相談していることがバカバカしく思えてくるんだよな」


私はフウの目を見た。


「壱に相談したことあるの?」


すると、フウは苦笑いを返した。


「まぁ、ちょっといろいろあってねー。でも、壱は確かにいいヤツだ。ちょっと人を突っぱねてるところがあるけどね。だけど、壱は僕のライバルでもあるんだ」


「ライバル?」


フウと壱がライバルになる理由が理解不能。


「うん。壱は僕よりも強い。僕は壱を越えてみせる」


そーゆーことか。


私が一人でうんうん、とうなずいていると、フウが私の背中をバシバシと叩いた。
< 152 / 824 >

この作品をシェア

pagetop