太陽の竜と闇の青年
頂上についたとき、強風に見回れた。


「うぎゃー」


私が棒読みで叫ぶと、壱が苦笑いを浮かべた。


「余裕そうだな。さっきまでは怖い怖い怖いって顔してたのに」


私はぷくぅと頬を膨らませた。


「ここは風国だよ。風を操るのも、風を得るのも私次第」


私は手をパン!とあわせた。


それと同時に風がビュウ!と強く吹いた。


ターバンがバサバサと唸る。


「ウィンドウ!!」


私がそう叫ぶと、風はピタリと止んだ。


「うし!これでいいね!」


さてっと……。


私は青竜の4つ目を思い出した。


「終わりと始まりを見てきた者。教えよ貴方の記憶。聞けよ遠くにある貴方の記憶。逃げることは許されない。希望より目覚めた青竜は主人を呼ぶだろう。これってどういう意味なんだろうね」


私が首を傾げると、白虎が壱に言った。


「壱、マリオネットで我が主の過去を青竜に渡すということはできないのか?」


壱は首を傾げた。


「さぁ……一応聞いてみるが……」


壱がマリオネットに質問をしている間、私は白虎に質問をした。


「青竜は終わりと始まりを見てきた者なの?」


「いえ。俺たちは皆同時に生まれてきました。しかし、生まれた時の年齢が俺が低かっただけなんですけどね。青竜は一番最後に翡翠を割ったんですよ。だから俺たちが自分で翡翠を割って時代を見ていない間、もしかしかたら青竜はなにかを見てきたかもしれません。だから、終わりと始まりを見てきて者なんでしょうね」


ほぉぉぉ……。


「青竜ってどんな人?」


白虎は柔らかく笑った。


「女の人のように美しい男性です。ですが、力は俺たちの頂点に立つ者。俺は青竜を尊敬しています」


私が白虎をみてニコッと笑うと、白虎は照れくさそうに頬をかいた。


「できるんだとよ」


そのとき、壱が私たちの間に入って言った。


「そうか。これで条件は揃った。我が主、青竜を呼んでくださいますか?」


私はニコッと笑って二人を後ろに下がらせた。


そして母上からもらった笛を取り出す。


歌の名前は時雨。


雨の歌の中でも一番有名な歌だ。


どこの国でも歌われてきたものだ。


終盤に入りかけたとき、周りに霧がでてきて、雨が降り始めた。


そろそろかな?


私がそう思ったとき、涼しげな声がした。
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