センセイと一緒 ~feel.Black~
五章

1.桜の記憶




翌週の月曜。

朝、校門をくぐった鈴菜のもとに和泉が足早に近づいてきた。

……うっすらと笑みを浮かべた、何か言いたげな表情。

ひぃと背筋を強張らせる鈴菜の腕をガシッと掴み、和泉は中庭へと連行した。


「……で? 週末、何があったわけ?」


和泉はぐいと顔を近づけ、じーっと鈴菜の顔を覗き込む。

その、実に楽しげな笑み。

鈴菜は背を仰け反らせながら、口を開いた。


「な、何って……何もっ……」

「何もないわけないでしょうがー? ……アリバイ工作に協力したあたしに何も話さないなんて、そんなこと許されるなんてまさか思ってないよね?」

「……」


はぁ、と鈴菜は息をついた。

……土曜日。

帰りが遅い鈴菜を心配し、母が鈴菜にメールを入れた。

が、鈴菜から全く返事がなかったため、和泉の携帯にメールを入れたらしい。

和泉はとっさに機転を利かせ、『今夜はあたしの家で一緒に勉強してます~』と返してくれたらしいのだが……。
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