センセイと一緒 ~feel.Black~
校門に姿を現した柊史に、鈴菜がパタパタと走り寄って来た。
まだ小学校低学年だった鈴菜は、大きいランドセルにふらつきながら柊史のもとに駆け寄った。
『ねぇ、柊ちゃん。河原に行こうよ!』
『河原?』
首を傾げた柊史を、鈴菜は問答無用でぐいぐいと引っ張っていく。
いつにない鈴菜の強引さに柊史は戸惑いながら、河原へと向かった。
鈴菜は河原に着くと、草薮の中に分け入って何やら探し始めた。
『……何を探してるんだ?』
『オレンジのユリ! 花がいっぱい咲くやつ!』
『……ヤブカンゾウか?』
呟いた柊史に、鈴菜はうんと言って笑った。
日が傾きかけ、西日に染まる川原で鈴菜はひたすら草薮の中を探している。
やがてヤブカンゾウの花を見つけ、鈴菜は目を輝かせた。