センセイと一緒 ~feel.White~



――――叫んだ瞬間。

鈴菜の体を、温かい何かが包み込んだ。

甘く爽やかなシプレーの香り。

その香りに、その熱に……鈴菜の心は引き寄せられていく。


「……ここにいるよ、鈴菜」


耳に忍び込む、甘く掠れたテノールの声。

鈴菜は朦朧とした頭で、その囁きを聞いていた。

言葉とともに、温かいものにぎゅっと包まれる。


――――肌と肌が触れ合う感触。


温かく、絹のように滑らかなその感触。

鈴菜はその熱にすがりつくように、無意識のうちに手を回した。

……唇に、頬に、首筋に、胸元に……

温かく、柔らかいものが押し付けられる。

その優しい感触に、鈴菜は切なげな吐息を漏らした。


「……あぁっ……」



< 140 / 215 >

この作品をシェア

pagetop