誘惑のクラン(血族)
胸に手を置いたまま、軽く俯いている。


「……優真さん……私、思い出したんです。……なぜ、私を恋人だと……」


「璃子ちゃん……」


「みんなヴァンパイアなんでしょう!? だったらどうして? どうして私達を殺さないんですかっ?」


「私達は人を殺したりしない」


確かに……私を助けてくれたし、美菜の命も救ってくれたようだ。


「でも……昨日の男は――」


「昨日は怖い思いをさせてしまって申し訳なかった」


璃子は沈黙してしまった。



< 172 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop