誘惑のクラン(血族)
鋭い聴覚を持つ優真は、言われずとも璃子の心臓の激しい鼓動が聞こえていた。


「君はもうすぐヴァンパイアになるんだ。私達の仲間だ」


「そんなっ! 嫌です! 東京に帰る!」


「もちろんずっとここに住むとは言っていない。東京に帰る。君が覚醒したらね」


「私が覚醒って? ヴァンパイアになったら人間の血を欲しがるようになってしまうんですか?」


「血が欲しくなったら、私の血を飲めばいい」


「そんな!」


「今は血を飲むなど出来ないと思っても大丈夫だよ。美味しいと思うだろう。それに男女の間では身体を重ねる行為でも生気が満たされる。頻繁に血を飲まなくても済むようになる」


途方に暮れたような璃子の表情が驚きに変わる。


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