誘惑のクラン(血族)
「お兄様があの娘を覚醒させようとするからこんな目に合うのです。私を妻にしてください。このままでは長は更にお怒りになり、お兄様も無事でいられません」


「……」


「まだ耐えられる痛みなのね。お前たち!」


香織はドアに向かって叫ぶと、再び人間達がやって来た。


「もう少し弱ってからお話しましょう。お兄様」


香織が部屋を出て行くと、人間達がサシェを置いていく。


「くっ……」


再び意識が朦朧としてくる。


璃子ちゃんは無事なのだろうか……。


「くそっ!」


意識を失うまで身体を動かし抵抗を試みた優真だが、再び暗闇の中に落ちていった。


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