誘惑のクラン(血族)
尚哉さんは純血種って言っていた。


あの崇って言う人は……?


璃子はふたりの男が戦う攻防を不安な思いで見つめていた。


崇の手にする鋭く長い剣が月明かりで不気味に光る。


かたや尚哉は鉄パイプだ。


しかし、尚哉は剣がなくとも俊敏な動きで崇の剣を防いでいる。


ふたりの戦いに夢中になっていたせいで、ヴァンパイアが目の前に来るまで気づかなかった。


「あっ!」


叫ぶまもなく石を持った手を振り下ろされた。


璃子は頭を石で殴られその場に倒れた。


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