きすはぐあまこい
隣の席の芸術家






「……あっ!沢木(さわぎ)くんったら、また何かやってるよ」


「え!なになに!?見たーいっ」


そんな声があちらこちらで聞こえる。

多分、他の教室でもそう。



このお昼休みの時間、生徒たちは窓から顔を出し、グラウンドに立つ一つの影に注目していた。


そしてもちろんわたし、蓮田 瑞奈(はすだ みずな)も―…。






「まーた、何かやってんのか。アイツ」

ひょいと顔を出したかと思うと、わたしの頭を横に押しやって窓の外を見る男子。


「……もう!国原(くにはら)痛いんだけど!」

そう言ってわたしはその手にピシッと自分の人差し指と中指をつけてしっぺをした。



「いってぇ!お前ほんと凶暴だな。これじゃあ、一生彼氏出来ねぇぞ」

「……な、何を!」


「へへっ!彼女持ちに言われたかねぇよなあ?悔しいだろ??」

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