きすはぐあまこい
最後は、あまく
**歩夢side**


『そっか。…ごめんね』

そう言って、蓮田さんは出て行ってしまった。


だけど、一人取り残された僕が呆然としている時間はそんなに長くなかった。




「おい沢木てめー」

ずんずんと何の躊躇もなくこの空気に足を踏み入れてきたのは、同級生のの国原だった。

よく蓮田さんと一緒にいるやつだ。




「…まったく、お前の鈍感ちゃんには驚いちまうよ」

勝手に今まで蓮田さんが座ってた椅子に腰をおろしたかと思うと、彼女のお弁当箱からはみ出してたベーコン巻きを口に放り込んだ。


それをじっと見つめてると、国原は『あぁ?瑞奈のモノは俺のモノだからいーんだよ。だからと言って、俺のモノは俺のモノだけどな?』って、恰幅良く笑った。




彼の言ってることは冗談の一種だってわかってるのに、何故だか彼に一瞬怒りをおぼえてしまった。
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