sleepy princess and arouse prince
すると、

「いきなり何をしだすのか‥?」

カイトは落とした白梅の破片を拾った。
大事なもの。
恐らく王妃が罅でも入れたのでしょう。
彼はテキパキと説明付きで白梅を拾い上げた。

皆、唖然する一方。
どこまで彼は俺を助けるんだろうか。
他人なのに、どうしてこんなに身内な感覚なんだ?

拾い上げた白梅をカイトから手渡され、森の入り口に入った。

「薄気味悪いね、此処。」

「そりゃ王妃の森だし。殺気ぐらい当然。」

ギュッとラサレナにしがみつくアルルシスは口を開いた。
辺りは殺気に包まれていて、鳥も飛んでいない。
警戒するように注意し、皆は前へ進んだ。

少し進んだ先には、広場のようなところへ出た。
俺が初めて白雪を見た場所と似ていた。

目を辺りに向けると、
まるで俺らを待ち構えてたかのように、男女が立っていた。
白い髪に黒い髪の子供。
こんな所で何してるの?とアルルシスは二人に話し掛けた。

「「ようこそ、死の世界へ」」

二人はアルルシスの手を掴み、呟いた。
幼い顔は恐怖を表す。
死の世界、それは森のことだよな?
王妃の目的は一体何なんだよ…

< 85 / 117 >

この作品をシェア

pagetop