好きだと言えなくて
俊介の彼女

春乃side



しばらく歩いて、ある家の前に立った彼女は、

「ここだよ!」

と言って、鍵を開けた。

その家の表札には「高岸」と書かれていた。

えっ?!ここって・・・俊ちゃんの家?
彼女、俊ちゃんの家の鍵持ってるんだ・・・
そういう仲なんだ・・・
あたしなんて・・・入り込める隙ないね・・・

ショックで泣きそうだったけど、必死に涙を堪えたあたしは、その場から一歩も動けずにいた。
そんなあたしに彼女は、

「入って!」

と言って、あたしを家の中に引っ張って連れて入った。
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