正しい殺人事件

帰り道Ι


「奈々ちゃんは、いつになったら私の名前を覚えてくれるのかな」

B江、真紀は沈んだ表情で言う。

「無理だろ。私達を認識するようになっただけ進歩だし」

明るい、空元気とも思える口調でA子、沙羅は言う。

「まあね、そうかもしれないけど…やっぱり淋しいわよ。せっかく存在を認識してもらえたんだもの。次は名前を。って欲も出るわ」

「奈々の目から見た世界って、どんな世界なんだろうな」

沙羅は遠くを見る。
初めて話した時を思い出すように。






「みんな、のっぺらぼう。なんでしょう」





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