檸檬の変革
ねぇ。初恋の味ってよく檸檬の味がするって言うじゃない?
何で味で例えたのかな?誰が最初に言ったのかな?
恋と愛の違いって何?





そんな事を頭の中で思い描きながら夕陽で赤く染まった河を眺めながら煙草の煙を吐き出し土手に座っていた。
隣には何時も連んでいた千穂子が同じ様にボケッと河を眺めて黙っていた。


別に話す事が無くて隣に居ても気を遣わない唯一の私の友だち。
友だちなんて1人居れば十分だ。
薄っぺらい友情なんて掃いて棄ててしまえ。


千穂子は学校に行ってれば私の一つ上だが、一年の一学期でドロップアウトしてフリーター生活を送っている。
私は退屈で溜め息で窒息する様な学校に行っている。後一年の我慢で卒業証書をふんだくれる。学校なんて卒業証書を貰う為に行っているだけ。


『文弥。寒いしそろそろ戻ろうか?』
不意に千穂子が立ち上がりGパンに付いた芝を払いながら声をかけた。
< 148 / 193 >

この作品をシェア

pagetop