檸檬の変革
あちきくんの家は鍵をかける習慣が無い。
何時でも誰かが居たし、何時でも私達が来れる様にとママさんの配慮だ。

この溜まり場の１つだけルールがある。
それは【他人様に迷惑をかけない事。】

私達を分け隔て無く自分の子供の様に扱ってくれたママさん。
私は早朝、自分の家を飛び出し、溜まり場から学校に通った。
ソコが私の居場所だから。

あちきくんは文也に言った事を徹にも言った。
『夜、海行くから。』
徹は鼻の絆創膏をソッと剥がしながら『了解。』と返事をした。

夜の８時半。
私は帰り支度をした。
私の門限が９時だから。
門限何か何の意味もないのにね。

不意に寝ていた文也が起き出した。
千穂子はまだ寝ていた。
『送って行くから。』
私はちょっと困った顔をして言った。
『いいよ。夜海行くんでしょ。』
私の声など聞こえてないみたいに文也は上着を羽織り、出かける用意を終えた。

私はママさんに『帰るね。』と言って外に出た。
『送ってくるわ。』
文也が言いながら外に出てきた。
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