檸檬の変革
店の奥の他の客に見えにくい席に僕達は向かい合わせで座った。
程なく店員がお冷やとお絞りを置きに静かに席に近づいて来た。

君はメニューも見ないで『アイスコーヒー』と店員に伝えた。
僕も慌てて『それを2つ』と付け加えた。


君はクスリと笑みを浮かべて軽く肘をついて外を少し眩しそうに眺めながら口を開いた。

『何で私なの?』

僕はドキドキしながら答えた。

『君から目が放せなくなったんだ。上手く言えないけれど、いつの間にか君の姿を捜している自分に気がついて、君と一緒に居たくなって………』


君は静かに微笑んで目線を僕にゆっくり向けながら言った。
『私君の事何も知らない。クラスが違うし話した事も無かったから。』

僕はつかさずそれに答えた。

『うん。それは分かってる。でも君は結構色々噂にはなってたよ。』


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