檸檬の変革
母は手紙の束とボトルレターを自分の方に寄せて言った。

この手紙は父さんと母さんの大切な宝物だし、今はまだ紫織には見せられない。
でも、何時か必ず渡すから、それまでお預け。


母は写真の束を広げた。
そして、写真を一枚ずつ私に見せながらその時の話を聞かせてくれた。


その時の母は私の母では無く1人の少女の様だった。

私は母が私の母で、そして父が私の父で良かった。

何時か私も誰かと結婚してこうして子供に自分の若い頃の話を聞かせる時が来るのかな…。


紫織は最後の写真を指差し母に言った。

『この仲間達って今はどうしてるの?父さんのお葬式にも来てなかったよね?』


母はキッパリと言った。
『大丈夫よ。必ず来るから。そして母さんの代わりに父さんに文句を言ってくれるから。』



玄関の呼び鈴が鳴った。
母は立ち上がり玄関に向かった。
私は父の遺影を見ながら言った。

『父さん。仲間が来たよ。』





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