家族ノ絆ヲモウ一度
正嗣になぜ笑ったか聞かれたが、次のように話をそらしてしまった。

「あっ!なんか今日みんなで、どっか出かけるみたい。」
「そうなんだ。どこか聴いた?」
「うん。蓮流の実家みたいなこと言ってた。」
「そっか…もうそんな時期がきたんだな。」

正嗣の眼がどこかを遠くを見つめているように感じた月見は、正嗣に疑問をぶつけてみる。

「何かあったの?」
「色々ね。さ、向こうに帰る準備しょうかな。」
「お盆だね。でもまだ2か月あるよ。」
「色々そろえていこうと思ってね。」
「ふ~ん。電車で帰るの?」
「一応。こっち来てすぐに、チケット貰ったし。初盆だからって。ほい。」

正嗣は、サッと月見に電車の切符を渡す。

「へ~本当だ。しかも往復乗車券だし。はい。」

印字された表示をすっと見ただけで月見は切符を返した。
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