家族ノ絆ヲモウ一度
(森の中)

「離して!!」
「これ以上行ったら、帰れなくなるから!!だから、行かないで!!」

蓮流の言葉が届いたのか、椿はパッと動きを止める。

「いったい何があったんだよ!!」

蓮流のその問いに椿は、怒った口調でこういった。

「許そうと思っても、許せない。あいつだけは・・・」

森の中に思い空気が広がっていく。
何分、何十分話さないだけなのに、その空間が重く、黒くなっていくように感じていた。

「俺も、許せない事いっぱいあるよ。長い間生きてると・・・。」

蓮流は、そうつぶやく。

少し安堵の表情を浮かべて・・・。

蓮流は、急に自分の過去を話し始める。

「この森で人間に攫われたんだ、俺とお袋・・・。」

椿は、黙ってはいたが、話は聞いて動揺していた。蓮流は、何も気にすることなくさらに話を続ける。

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