家族ノ絆ヲモウ一度
「このお方は?」

文乃が椿を見てそういうと

「正嗣の娘だべ!今は俺達の大事な娘だけど!」

緑涼はそういった。

「正嗣様の・・・ここに正嗣様がいらっしゃらないってことは・・・」
「父は・・・今年亡くなりました。」
「そう・・・ですか・・・。」

泣きそうな目を隠すかのように、文乃は顔を下に向ける。

「とにかく、部屋に案内してくれよ、この事はそれからの話だ、文乃。」

禮漸のその言葉で文乃はまた顔を上げ、周囲の仲居に指示を出し荷物を持たせると

「お部屋へご案内させていただきます。」

といい、椿たちの少し前を歩き始めた。

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