家族ノ絆ヲモウ一度
緑涼、禮漸、火燐、風燕、蓮流 へ

この手紙が読まれている頃には、俺はもうあの世でのんびり旅でもして、お前達は月下楼で妖涼祭を楽しんでいることだろう。

いきなり家を出て行って、火燐と風燕と蓮流はびっくりしたと思う。
実はあの時、俺の身体は癌、しかも末期癌と言って治療が出来ないレベルの病気になってたんだ。
俺の中で、最後に何がしたいかよく考えて出た結論は、残っている時間を娘の椿と過ごしたいってことだったよ。だから家を出たんだ。

(緑涼と禮漸にはこのことを黙っておいてくれって言ってでたから、これを聞いて彼らを攻めないように)

もし、この手紙が読まれている場所に椿がいるのなら、お前らにしか頼めないことをここに書くから、必ず実行してほしい。
椿のことを俺の代わりに親として兄弟として接してあげてほしい。
俺は、親として失格だ。
いろいろあって、椿とは絶縁状態で音信不通になっている。
俺から親の暖かさを伝えてあげることは出来なかったと思う。だから、俺の代わりに椿を頼む。

春川正嗣

追伸

ピンは、俺からのプレゼントだ。さっきの願いをこめて6つある。家族の証だ。あと、必ずピンの裏側も見るように。今までありがとう。本当に娘のこと頼んだぞ。

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