家族ノ絆ヲモウ一度
全員の最終仕上げが終わると、その部屋には7着の浴衣と白の着物と袴のセットが5つ。

「この着物は?」

椿が空我に聞くと、こう答えが返ってきた。

「これは、妖涼祭の2日目に行われる男義祭(だんぎさい)っていう祭りがあって、その時に着る衣装だよ。」

「男義祭・・・」

「うん。この祭りは、男しか参加できない祭りなんだけど、5名で1チーム作って参加するんだ。内容としては、力比べ、川泳ぎ、避け、的打ち、飛ばしの5競技。ちなみに、川泳ぎ以外はあの衣装を着ないと失格になるんだよね。」

「そうなんですか!」
「そう!川泳ぎに出る奴だけ、白いふんどしとサラシ姿で出場になるんだ。でも待ってる間はあの衣装。」

「そうなんだ・・・」

「漢を決める為の祭りってところかな。ちなみに、緑涼の兄貴達は、覇王って言われてる。」

「覇王?」

「そう。各種目1位になると、賞金や副賞とかいろいろでるんだけど、みんな根こそぎゲットしていくんだよね。右に出る奴がいない・・・」

「だから、覇王!すごい!」

「そりゃ~生活かかってるべや。生半可な気持で参加できねぇべ!」

緑涼は、隣りの居間から椿に向かってそういった。

「私もいっぱい応援するから、みんな頑張って!」

椿がそういうと、緑涼達は徳利を片手で上に投げながら「は~い!!」と大声で叫んだ。

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