家族ノ絆ヲモウ一度


「家族・・・ふざけんなよ!」

風燕の怒りは頂点に達した。
普段以上に声を荒げるようになってきている。
それでも緑涼は、冷静に淡々と話す。


「みんながみんな、風燕の思う人間じゃないべ。正嗣のように、俺達に接してくれる人間だっているんだ。」

風燕は、それでも何かをいいたそうに口をもぞもぞさせていた。緑涼はさらに話を続ける。

「火燐だって、それがわかってるから好きになったんじゃないのか?だから、よく・・・」

風燕は、あきれるような顔をし、話を聞かず、部屋に戻ろうとした。



「風燕・・・。」



火燐が声にならないような声で風燕を引きとめた。


「椿ちゃんは・・・違うよ・・・。椿ちゃんは・・・眼がきれいだもん。」


しかし、風燕はそれを聞くことなく部屋に戻ってしまった。
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