“愛してる”の、その先に。

「覚えてません?

早川さん、飲み過ぎですよ。

みんな、俺に介抱任せて帰っちゃうし。

吐くわ喚くわで大変だったんですからね」



シャワーを浴びて来たのか、上半身裸で腰にタオルを巻きつけただけの村井は笑ってそう言った。


「ご、ゴメン…」


私はなんと侘びたら良いのかわからず、ベッドから動けなかった。


村井は、入社2年目の会社の後輩だ。


私が教育係として、ずっと面倒を見ていた。


2年目を迎え、決して仕事ができないワケではないが、


強いて言えば押しが弱い。


まだ自分の仕事に、自信が持てない。


そんな村井の先輩であり、教育係をしているこの私が、


まさか、村井に介抱されるとは……


しかもそんな醜態さらして、迷惑かけて…





……最悪だ。





人としても、先輩としても……



女としても。




「はい、お水」



村井がペットボトルのミネラルウォーターを差し出す。


「…あ、ありがと」



恥ずかしさのあまり、村井の顔を直視出来なかった。



あぁ…なんで私……













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